300人の怒号響く…夕食会会場「日比谷」ルポ
機動隊と衝突「どこの国の警察だ」
中国の胡錦濤国家主席が来日した6日夕、福田康夫首相は東京・日比谷公園内にあるレストラン「日比谷松本楼」で、胡主席を歓迎する非公式の夕食会を開いた。ただ、チベット問題や毒ギョーザ事件など、中国関連の懸案事項が山積しているため、公園周辺では300人前後が抗議のシュプレヒコールを繰り返した。
この日、都内では1000人以上が集まる抗議集会や抗議デモなどが相次いで行われた。公園東側の日比谷門向かいにある日生劇場前にも、夕食会が始まる2時間前の午後4時過ぎには、チベットの旗や日の丸を持った人々が集まり、「フリーチベット」を連呼。「毒ギョーザを謝罪しろ」「尖閣諸島への侵略を許さないぞ」「国交断絶」などと抗議の声を上げ始めた。
抗議グループの前には数百人の警視庁機動隊がズラリ。公園内にチベットの旗を持ち込み、少しでも騒いだ者は機動隊員が数人がかりでつまみ出した。
衝突が起きたのは夕食会が始まった直後の午後6時20分過ぎ。抗議グループの前に機動隊の大型バスが突然横付けされたのだ。視界を遮られた抗議グループは「一体、どこの国の警察なんだ」「(聖火リレーで日本人を排除した)長野と同じじゃないか」などと激高し、一部が公園内に向かおうとして機動隊員と激しいもみ合いになった。
チベット問題に抗議するデモ行進には、ヒトラー、ミロシェビッチ、ポル・ポト、スターリン(左から)に囲まれ、真ん中に胡主席の顔写真も=6日午後、東京都新宿区(クリックで拡大)
チベット問題に抗議するデモ行進には、ヒトラー、ミロシェビッチ、ポル・ポト、スターリン(左から)に囲まれ、真ん中に胡主席の顔写真も=6日午後、東京都新宿区(クリックで拡大)
胡主席は夕食会で、パンダ2頭の貸し出しに応じる意向を示したが、抗議グループからは「パンダはいらないぞ」との連呼も。長野でも抗議を行ったという37歳の自営業男性は「パンダはもともとチベット自治区で生息していた動物。外交の道具に使うとは卑怯(ひきょう)だ」と憤りをあらわにした。
一方、日比谷公園側には先の抗議グループとは雰囲気が違う、穏やかそうな人々が集まっていた。和服姿でチベットの旗を振っていた38歳のOLは「日本人の立場からチベット問題に抗議の意志を示している。『国交断絶』なんて必要ない。目的はフリーチベットです」と話した。
また、抱擁によって日中友好を訴える「フリーハグ」なる男女2人も出没し、「話せば分かる」と独自の主張を展開した。
抗議エリアから200メートルほど離れた松本楼付近は、そのころ別の絶叫に悩まされていた。ビジュアル系ソロアーティストとして人気のベーシスト「J」(元LUNA SEA)のコンサートが、公園内の日比谷野外音楽堂で始まったのだ。
「ズシン、ズシン」と腹の底から響くようなドラムに、ボーカルとギターソロ、若い女性たちの「キャー」という悲鳴や絶叫…。抗議のシュプレヒコールさえ曲と曲の合間にしか聞こえない状態となった。
夕食会は午後8時20分にはお開き。胡主席は10日まで日本に滞在するが、混乱を予感させるような初日だった。
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