「演歌の殿堂」新宿コマ劇場、閉鎖へ
2008年05月29日01時46分
阪急阪神東宝グループのコマ・スタジアムは28日、東京都新宿区の「新宿コマ劇場」を年内で閉鎖すると発表した。1956年に開場し、大人から子供まで楽しめる庶民的な劇場として親しまれたが、近年、客足が遠のいていた。半世紀余りの歴史に幕を閉じる。
氷川きよしさんのコンサートも開かれた新宿コマ劇場
新宿コマ劇場は美空ひばりさん、北島三郎さん、五木ひろしさん、小林幸子さんら大物歌手の座長公演で知られ、「演歌の殿堂」の異名をとった。エノケンこと榎本健一さんの喜劇や「マツケンサンバ」の松平健さんの座長公演、「ピーターパン」「アニーよ銃をとれ」などミュージカルの上演も多かった。
コマのように回りながらせり上がる3段の円形舞台が劇場名の由来になった。ギリシャの古代劇場を模した円状のスタジアム型の客席も特色で、2088席と首都圏最大級を誇った。
70年代に全盛期を築いたが、近年、演歌の人気が下火になり、新ジャンルのミュージカルなどの企画公演も不振だった。築50年が過ぎて建物の老朽化も目立っていた。
この夏には「モーニング娘。」と宝塚歌劇のOGが共演する「シンデレラ」を予定するなど若者の集客にも力を入れ始めた矢先の閉鎖決定となった。12月の「愛と青春の宝塚」が最後の主催公演となる。
閉鎖後は東宝が主体となり、隣接する新宿東宝会館と一体として再開発する予定。新施設に劇場ができるかは検討段階だという。
コマ・スタジアムは劇場の撤去費用などの再開発事業費に、東宝の全面的な支援を仰ぐ。今後も演劇興行は規模を縮小しながら、他の劇場を使って続ける。同社は03年、従業員を3分の1程度まで減らすことなどを柱とした経営再建計画を発表。05年には大阪市北区の「梅田コマ劇場」を閉鎖するなどし、経営の立て直しに努めてきた。
コマ劇場がある歌舞伎町商店街振興組合の城克(まさる)事務局長(54)は「歌舞伎町を全国区にしたランドマーク的存在だった。無くなるのは寂しいが、新施設が町の起爆剤になれば」と語った。
都内で飲食業を営む男性(48)はコマ劇に何度も通った。「回転式の舞台がとても印象に残っており、残念でならない。コマ劇の名前だけでも残せないものか」と語った。
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