日本初官民共同開発・GXロケット中止へ…コストなど問題
GXロケットの想像図(打ち上げ会社・ギャラクシーエクスプレス提供)
文部科学省の宇宙開発委員会は、日本が初めて官民共同で推進している中型ロケット「GX」について、開発中止を勧告する方針を固めた。
民間側はすでに投じた500億円弱が回収不能になると反発し、自民党内には偵察衛星などの防衛関連の打ち上げ用として計画続行を強く求める声もあるが、技術面、開発費などの問題があまりに大きく、現行計画のGXは中止に追い込まれる公算が大きくなってきている。
宇宙委では、2月からGXの見直しを進めてきたが、〈1〉民間側が事業との関係で強く要望している2011年度の初打ち上げは不可能〈2〉1機あたりの価格が高く、民間側が目指す世界の打ち上げ市場参入は困難〈3〉民間側の提案する米国での打ち上げは、日本が安全確認などに携われないのに、打ち上げ失敗時には日本政府が損害賠償を求められる可能性がある--などの問題点を挙げている。
しかし、産業支援策としてこの計画に参加している経済産業省は「ここで事業ができなければ、投資を回収できない」と主張。民間側が「官側の担当する新型エンジンの開発が遅れ、それを待っている間も米国企業に支払いを続けねばならなかった」としていることなどから、民間負担分の取り扱いを巡る官民の調整が焦点の一つになる見通し。
GX中止に伴い、宇宙委では、官側が担当している新型エンジンの開発も中止する。将来に役立てるために、基礎的な研究は継続する方針だが、宇宙委内には「厳しい財政状況の中、不急の研究を行う余裕はない」という指摘もあることから、別途検討する。
GXには、官民合わせて700億円から800億円近くを投じている。官民の試算によると、少なく見積もってもさらに国の負担が、900億円弱から1400億円以上必要で、総開発費は、当初計画の450億円の3倍から5倍になるという。
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
No comments:
Post a Comment