医療事故調:「やむを得ぬ死」届け出除外 厚労省最終試案
厚生労働省は3日、医療死亡事故の原因を究明する第三者機関として10年度設置を目指している「医療安全調査委員会(仮称)」の最終試案を公表した。調査対象とする事故の範囲は「医療過誤か、合理的説明がつかない死亡」に限定し、死亡の危険を伴う正当な医療行為による事故などを除外した。医療機関は調査委への通報が義務化される代わりに、医師法改正により警察への通報義務が不要になる。
厚労省は試案についての一般からの意見を募り、法案を今国会にも提出する。
調査委は、国土交通省に置かれた航空・鉄道事故調査委員会の医療版で、医療関係者や法律家らで構成する。これまで刑事・民事裁判に委ねられていた真相解明を専門家が担い、再発防止に役立てる狙いがある。国は訴訟リスクが減ることで、医師不足対策の効果もあると期待している。
届け出の範囲は、医療関係者らに「過失がない死亡事故まで調査対象になると医療が萎縮(いしゅく)する」との声が強いのを受け、対象を絞った。厚労省の例示では▽内視鏡検査で消化管に穴を開けてしまう▽手術で癒着した組織をはがす際に大出血を起こす--などのケースは「やむを得ず発生した合併症」とみなし、届け出の必要はない。厚労省は年間2000~3000件が調査対象になると推計する。
医療機関からの届け出や、遺族からの調査依頼があると、調査委は医療や法律家のほか、患者側代表として有識者も入る調査チームを事案ごとに設置。チームには立ち入り検査の権限を与える。遺体の解剖が原則だが、既に火葬した場合も調査する場合がある。
調査の過程で▽故意や重大な過失▽過失事故の繰り返し▽カルテの改ざん、隠ぺい--などが判明した場合は、調査委が警察に通知する。警察は遺族の告訴を受けた場合でも、原則的に調査委の結論を待って捜査に入る。
Thursday, April 3, 2008
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