ＰＣＩ元社長、長男の借金穴埋めか…１億２千万円の一部

ＰＣＩ元社長、長男の借金穴埋めか…１億２千万円の一部

　国が中国で進める遺棄化学兵器処理事業を巡る大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」（ＰＣＩ）の特別背任事件で、元社長・荒木民生容疑者（７１）が同社から引き出した約１億２０００万円の一部を、長男（４１）の借金返済資金などに充てていた疑いのあることが分かった。

　東京地検特捜部は、この借金返済資金などの支払いを仲介した弁護士の事務所を捜索するなど、荒木容疑者が不正流用したとされる資金の使途を調べている。また、特捜部は２５日午前、ＰＣＩ本社の捜索を始めた。

　荒木容疑者は、２００４年９月～０５年９月、ＰＣＩ側が受注した遺棄化学兵器処理事業の事業費のうち約１億２０００万円を不正流用したとして逮捕された。

　ＰＣＩ関係者などによると、荒木容疑者の長男が経営していた情報サービス会社が０１年６月、多額の負債を抱えて破産。この負債の一部を沖縄・石垣島のホテル運営会社の経営者が肩代わりした。荒木容疑者はその見返りに、自身が社長を務めていた「パシフィックプログラムマネージメント」（ＰＰＭ）が石垣島のホテル建設に協力することを約束したが、０３年以降、ホテルの所有権などを巡って経営者側と深刻なトラブルになっていた。

　一方、荒木容疑者の長男は０４年当時、数千万円の個人的な借金を抱え、債権者らから破産を申し立てられていた。

　荒木容疑者は０４年４～６月、石垣島でのトラブル解決の名目で、ＰＰＭから計９０００万円を引き出し、このうち８３００万円を都内の弁護士を通じて、知人の不動産コンサルタント業者に渡していた。このコンサル業者は受け取った資金の一部を使って、長男の借金を帳消しにしたという。

　荒木容疑者はちょうどこの時期に、当時のＰＣＩ副社長、森田祥太容疑者（６６）らに遺棄化学兵器処理事業の利益をＰＰＭに流すよう要求していた。

　特捜部は、荒木容疑者が長男の借金返済のためにＰＰＭから引き出した資金の穴埋めをする目的で、ＰＣＩに不正な資金提供を求めた疑いが強いとみて調べている。荒木容疑者は特捜部の調べに対し、「悪いことはしていない」と容疑を否認しているという。