クローズアップ2008:主要企業アンケート 降りかかる三重苦
毎日新聞が実施した主要企業景気アンケートで、多くの企業が日本経済の先行きや、自社業績に強い警戒感を抱いていることがわかった。米国経済の減速や、1バレル=120ドル突破が間近に迫る原油価格など原材料価格の高騰、個人消費の冷え込みなどが大きな懸念材料となっている。不安定な政治情勢も景気悪化要因との見方が多い。【秋本裕子、宮島寛、宇都宮裕一】
◇降りかかる三重苦--米景気減速・円高・原料高
米国経済の減速、急激な円高、原材料価格の高騰という「三重苦」に企業は直面している。
低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に見舞われた米国経済について、55%と半数を超す企業が「景気後退に向かう」と答えるなど、先行きに懸念を示した。
「かつてのバブル崩壊以上の衝撃」(三菱マテリアル)があるとの分析や、「金融市場の混乱が雇用に波及し、個人消費を中心に成長が抑えられる」(日本IBM)との懸念など、米国発の景気後退が日本に及ぼす影響を慎重に見極めようとする姿勢が目立った。
今年3月に1ドル=95円台をつけるなど円高が進む為替相場。
アンケートでは、08年度の年平均レートを「100円」と答えた企業が28%と最多で、「100~105円」の範囲と回答した企業とあわせると51%だった。
「105~110円」も29%で、07年度の為替レート(115円)より大幅に円高が進むと見ている企業が大勢を占めた。
海外の売上比率が高い企業は「大きな懸念材料」(武田薬品工業)、「抵抗力はあるが、あまりにも急激な円高は吸収できない場合がある」などと答えた。
一方、輸入に依存する企業からは「調達コスト低減につながる」(日本製紙グループ本社)、「輸入品が安くなり、消費者が生活防衛を図る中で一定の効果がある」(ダイエー)など歓迎する意見が相次いだ。
原材料価格の高騰に懸念を示した企業は、回答企業の83%に達した。
だが、三重苦に見舞われながらも08年度の業績見通しは、「やや良くなる」「良くなる」が合わせて39%と底堅く、「やや悪くなる」「悪くなる」の合計11%を上回った。
「良くなる」と答えた企業には「中国を中心とした海外での成長が期待できるため」(資生堂)など新興市場の成長に期待する声があった。
一方、「やや悪くなる」とした企業は「原材料価格の高騰と円高基調」を理由にあげた。
◇値上げにジレンマ
原材料価格の高騰への対応は、業種などによって異なる結果が出た。
回答した企業のうち、37%の企業がすでに製品・サービス価格の引き上げに踏み切ったと回答した。
このうち約3割は「再引き上げを検討している」ことを明らかにし、これまでの引き上げだけでは原材料価格の上昇分を吸収しきれていない実態を示した。
さらに、「これまで価格を据え置いてきたが企業努力も限界に達し、価格引き上げも検討対象になる」と答えた企業も7%あった。
一方、最終消費者に身近な自動車や電機産業を中心に、22%の企業が「価格を引き上げられる状況にない」「できる限り据え置く」と回答した。「使用原料の見直しなどあらゆる策を検討する」(日産自動車)、「転嫁できないものは経営全体で吸収する」(日立製作所)などさらなる努力を強調する声が相次いだ。
これは、7割の企業が、08年度の国内個人消費動向を「一進一退」と見ていることが背景にある。「悪化する」との見方も16%で、「緩やかに回復する」(13%)を上回った。
しかし、鉄鋼業界だけで08年度に3兆円超の負担増が見込まれる中、自動車や電機にも値上げの波が押し寄せるのは必至の情勢だ。企業は、値上げしなければ業績悪化、転嫁すれば消費者離れが起きるというジレンマに直面している。
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◇「ねじれ国会悪影響」7割--「国際的信用失う」
衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」で、政治が機能不全になっている。この状況が日本経済に与える影響については、71%の企業が「悪影響がある」と答えた。
「政策決定の停滞は株安などにも影響する」(キッコーマン)、「重要なことを決められない日本は、国際的な信用を損ない、存在感を失う」(富士ゼロックス)など手厳しい意見が多く、空転が続く国会へのいら立ちの深さをうかがわせた。
衆議院の解散時期についても聞いた。
政治不信を背景に「(7月初旬の)北海道洞爺湖サミット後の年内」が36%。「サミットまで」は2%だった。「来年」と答えた7%を含めると45%が来秋の任期満了前の解散を望んだ。「任期満了まで必要はない」は8%にとどまった。
道路特定財源の一般財源化は「支持」が46%と「不支持」(3%)を大幅に上回った。
「社会保障に活用すべきだ」(キリンHD)、「環境などに柔軟な財源を配分できる」(印刷大手)などが支持の理由だ。一方で「自動車ユーザーだけが過重な税負担を被ることになる」(日産自動車)と慎重な対応を求める意見もあった。
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