鋼:強くて安い 物質・材料研が開発
温度が下がるほど衝撃に耐える力を増し、常温でも従来の最高級の鋼より強度や耐衝撃力が優れた鋼を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が開発した。最近事故が問題となったジェットコースターの軸やトラックのボルトのほか、広範な用途が期待される。23日付の米科学誌サイエンスに掲載された。
一般的に金属は、硬いほどもろく、温度が下がるほど壊れやすい。従来の最高級の鋼はコバルトやチタンなどを含み、硬さと耐衝撃力を併せ持つが、高価なため航空機などの一部素材しか用途がなかった。また、低温になると極端に硬さや耐衝撃力が劣った。
研究グループは、少量のシリコンやクロムなど低価格の成分を含んだ合金の鋼を圧延加工し、一般的な鋼の結晶の約100分の1に当たる260ナノメートル(ナノは10億分の1)の微細で細長い結晶の鋼を作った。
最高級の鋼と比べ硬さや耐衝撃力があり、衝撃を加えた試験ではマイナス60度でも破断しなかった。また、材料費も低価格の成分を使ったため、一般的な鋼と同程度に抑えられた。鉄以外の成分の含有量も約20分の1と少なく、リサイクルもしやすいという。
1912年の英豪華客船タイタニック号の沈没は、氷山との接触よりも、船体の鋼板が低温で亀裂が入りやすくなっていたのが原因との説もある。木村勇次・主任研究員は「新たな性質を持った鋼の開発は、まさに技術革新」と話している。
Friday, May 23, 2008
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