猛毒ホスゲン170トンを無届け製造 石原産業
2008年05月14日22時06分
化学メーカー・石原産業(大阪市)の織田健造社長は14日、三重県庁で記者会見し、四日市工場(同県四日市市)で、毒ガスとして化学兵器に転用可能なホスゲンを国に無届けで製造するなど、新たに7件の不正行為を発表した。同社は有害物質を含む土壌埋め戻し材「フェロシルト」を不法投棄した罪で、同工場の元副工場長が実刑、法人としての同社も罰金5千万円の判決を受けている。
同社の説明によると、新たな不正は、フェロシルト事件を受けて今年3月、全社員約1600人に文書で不正行為の報告を求めた社内調査で判明した。(1)農薬の原料で化学兵器に転用可能なホスゲンを、化学兵器禁止法で定められた国への届けをせずに製造(2)海中へ投棄する排水内のマンガン測定値の改ざんなどで、いずれも四日市工場での不正だという。
ホスゲンは年間30トン以上生産する場合、計画量と前年の実績を経済産業省に届け出ることが化学兵器禁止法で義務づけられている。しかし、同社は05年に約98.1トン、06年に約74.5トンの計172.6トンを国に届けずに製造していた。織田社長は「当時の工場責任者が、毒性の高い物質の製造を明らかにすると、住民の理解を得にくいと考えたようだ」と説明し、ホスゲンの漏出や農薬製造目的以外への転用はなかったとした。
さらに、同工場に建設中のプラントの地下水から、環境基準の約500倍(1リットルあたり5ミリグラム)に当たる濃度のヒ素を検出し、四日市市へ届け出たことや、工場敷地内に放射性物質が付着した廃材が埋設されていたことも明らかにした。不法な埋設について、「都合が悪いものがあると、とりあえず埋めておけという雰囲気だったということか」と質問された織田社長は、「そうだったと想像される」と答えた。
7件の不法行為以外にも、トラックの過積載やファクス・コピーの不正使用などの報告が社員からあったという。
また、フェロシルト不法投棄事件に関して、弁護士3人による第三者調査委員会の調査報告で「関与した幹部、従業員にもしかるべき処分がなされるべきだ」と指摘され、織田社長を3カ月間20%減俸にするなど、役員、管理職16人を停職、謹慎、減給の懲戒処分とした。田村藤夫前社長に求めている退職慰労金の返還について、織田社長は「前向きとの返答を得ている」と述べた。
不正はもうないのかとの質問には、「ほぼ出尽くしたと思っているが、コンプライアンス(法令順守)意識が非常に低い企業風土があったため、ないとは断言できない」と話した。
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〈ホスゲン〉 農薬やポリウレタンなどの原料として使われる化学物質。無色だが毒性が強く、刺激臭がある。人体に触れると目や気管、皮膚などに炎症を起こし、呼吸困難や肺水腫などを引き起こして死亡する場合もある。第1次大戦中、ドイツ軍が化学兵器として使用を始め、旧日本軍も砲弾などに使用したとされる。
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