Wednesday, March 26, 2008

NYで競売の大日如来座像、落札は「真如苑」

NYで競売の大日如来座像、落札は「真如苑」

 米ニューヨークでの競売で、鎌倉彫刻の巨匠運慶の作と見られる大日如来座像が約14億円で落札された件で、宗教法人真如苑(総本部・東京都立川市)は25日、文部科学省内で記者会見し、百貨店大手の三越に落札を依頼し、入手していたことを明らかにした。

 将来は立川市などに入手している土地の一角に施設を設けて安置し、一般にも公開する構想だが、当面5年間は公的機関に寄託し、調査や展示に応じるという。

 真如苑は1936年立教の密教系教団で、国内の信者は約85万人。報道で競売を知り、密教で重んじる大日如来像で、開祖が運慶に強い思いを持っていた「仏縁」から、入手に乗り出した。日本美術の競売では史上最高額で競り落としたが、用意していた額は「おのずから限度があり、息が切れ、海外に流出してしまう直前だった」という。

 教団としては「単なる美術品でなく、みほとけ」との位置づけだが、「一般の方に見て頂けないのは適切ではない」としている。寄託先については、東京国立博物館と協議を始めたという。文化財指定にも協力する考えで、この日、文化庁に入手を報告した。同庁美術学芸課は「指定を見据えた調査を行い、文化財としての管理についても助言したい」としている。

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「運慶」14億で落札、国外流出を防いだ真如苑の実力
日産跡地も739億円で購入

 鎌倉時代の仏師・運慶の作とされる「大日如来像」を、三越を通じてニューヨークのオークションで1431万7000ドル(約14億円)で落札したのは、東京都立川市に総本部がある宗教法人「真如苑」だった。教団の潤沢な資金によって日本の宝が国外流出の“法難”を逃れた形だが、果たして教団の狙いは…。

 真如苑の西川勢二総合企画部長は25日に文部科学省で会見し、大日如来像の取得を明らかにした。

 西川氏は、購入の動機を、「(教団が)真言密教を母体として発達したので、運慶作とみられる大日如来様には強い仏縁を感じる」などと説明。日本の仏像として過去最高の落札額となったことについては、「息切れ寸前だった。安いとは言えないが仏様なので」と苦笑した。

 息切れしたとはいえ、真如苑の資金力は、2002年に立川市と武蔵村山市にまたがり、東京ドームの28-29個分に相当する旧日産自動車工場跡地約106万平方メートルを、約739億円で買収したことでも明らかだ。数多い宗教団体の中でも潤沢な資金力を誇る。

 現在、この土地の再生、再開発プロジェクトを進めており、大日如来像も、5年後をめどに同地に建設する施設で「一般の方にも参観、参拝していただく」(西川氏)という。それまでは東京国立博物館などで公開することも検討。文化庁から重要文化財などの指定に向け、調査や研究の依頼があれば協力するという。

 真如苑は1970年代から80年代にかけて急成長した。現在の信者数を非公開だが、国内外で約84万人とみられている。信者には有名女優やタレント、文化人なども多数いるといわれており、大日如来像の取得は宗教上の理由に加えて、教団の存在感を高める宣伝効果も見込めるようだ。

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