「客離れ怖い」苦渋のスタンド、値下げ「1日から」続々
値下げを知らせる紙が張り出されたガソリンスタンド(山形市香澄町の「野口鉱油山形駅前給油所」)=29日、米山裕之撮影
ガソリン税などの暫定税率の期限切れ対策として、全国のガソリンスタンド(GS)で、4月1日から大幅な値下げに踏み切る所が増えている。
石油元売り大手のうち出光興産、ジャパンエナジー、コスモ石油が1日出荷分のガソリンから1リットルあたり22~23円程度の値下げを決め、3社の系列店を中心に値下げが広がる見通しとなった。
こうした動きは特約店や他の系列店にもあり、すでに先行値下げに踏み切ったところも。ただ、初日のガソリン注文量が配送能力を上回り、売り切れが相次ぐ懸念も出ている。
静岡市の出光興産系列GSでは、1日から130円程度で販売する。男性店長は「高い税率で仕入れた在庫を25円引きで売るなら、3月中に10~15円引きで売ったほうがまし」と腐心しており、月内の値下げも検討中だ。他の大手の系列店でも値下げの動きはあり、エクソンモービル系列の「野口鉱油」(山形県天童市)は、「客に納得してもらえない」として、1日から25円値下げする。
こうした動きは大手の特約店の中にもあるが、各社が懸念しているのが値段の据え置きによる客離れだ。東京都内GSの男性店長(36)は「後れをとってほかに客を奪われては目も当てられない」。「他社に勝つには我慢するしかない」(新潟市の特約店)、「値下げをあてにした客とのトラブルが怖い」(京都府長岡京市のGS)という声もある。
一方、新日本石油の系列では、製油所からの距離によって卸価格の値下げ時期に差が生じる。秋田県西部の系列GSでは、仕入れ価格が下がるのは7~10日程度先。「ライバル店が値下げしたら追随するしかない」と苦しい胸のうちを明かした。
都心の特約店は1日から25円値下げする。在庫の220キロ・リットルは暫定税率上乗せ分が含まれた価格で仕入れているため、「従業員20人分の給与(約550万円)をかぶることになるが、客に高いガソリンは売れない」。
今回の値下げを商機ととらえ、先行値下げに踏み切ったところも。北陸地方でセルフ式スタンド6店を経営する「カナショク」(金沢市)は28日から、4店で7~8円の値下げに踏み切った。1日からは25・1円まで値下げ幅を広げる。
同社の藤沢忠男社長(56)は「客の期待は裏切れない。新規顧客の獲得にもなる」と話している。
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
No comments:
Post a Comment