Thursday, March 27, 2008

早い話が:「中東の笛」の不思議=金子秀敏

早い話が:「中東の笛」の不思議=金子秀敏

 中東のレフェリーが特定国に偏った判定をする「中東の笛」が、ハンドボールの北京五輪アジア予選で問題になった。日本人の多くが憤慨した。スポーツはフェアであるべきだ。

 女子ハンドの予選は昨年8月、カザフスタンのアルマトイで行われた。第1日、日本は強豪韓国に30対29で逆転勝ちした。番狂わせである。

 その夜、町の韓国料理店で韓国チームのキム・ジンス団長は選手に泣いてわびた。「選手の責任ではない。私たちの責任で負けたのだ」。翌日、韓国の新聞は「でたらめなジャッジ」と書き立てた。

 主力のオ・ソンオクが、前半12分にレッドカードで失格。その後、韓国には2分間退場の連発。2分間退場3回でディフェンスのホ・スンヨンが失格、その穴を埋めたキム・チャヨンも2分間退場になった試合終了10秒前。田中美音子が逆転の決勝点を入れた。

 韓国を狙い撃ちにした「中東の笛」がなければ、日本に負けるはずはなかったというのが韓国の論理だ。

 女子ハンドの予選に出場したのは4チーム。実力で韓国に劣るカザフが優勝するには、韓国が日本かカタールに敗れてくれなければならない。

 実際に、韓国は日本に敗れた。カザフは韓国に敗れた。その結果、韓国とカザフが勝敗で並んだ。だが得失点差で上回ったカザフが五輪代表になった。

 韓国紙は、イスラム教徒の多いカザフを代表にするために、日韓戦で日本に有利な「中東の笛」が連発されたと怒っているのである。

 韓国と日本は、アルマトイの予選が公正でなかったと非難した。結局、東京で日本と韓国だけでやり直し予選を行った。

 負けた韓国が「中東の笛」を非難するのはわかる。だが勝った日本がジャッジの笛を不公正だと非難するのは不思議だ。日本の勝利は不公平な審判のおかげだと思っているなら、アルマトイで勝利を返上するのがフェアな態度ではなかったろうか。

 「中東の笛」の問題はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に持ち込まれた。

 最近出された裁定は、男子については不公平な審判ありと認めたが、女子については認めず、カザフの代表は動かなかった。ということは、日韓戦で日本が勝ったのは実力だったと晴れて認められたことになる。喜ぶべきことと思うが、日本の協会は「遺憾」だと声明した。なんでだろう。(専門編集委員)

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