Sunday, March 23, 2008

日銀の内部資料、流出元のパソコンに39種類

日銀の内部資料、流出元のパソコンに39種類

 日銀松江支店の内部資料がインターネット上に流出した問題で、流出元となった行員の私物パソコンには計39種類の資料が入っており、16の金融機関に対する検査の情報と、金融機関の取引先である14の企業に関する情報が含まれていることがわかった。

 日銀の内部規定で内部資料は重要度の順に「機密」「要注意」「一般資料」の3ランクにわかれているが、39種類の資料は「要注意」と「一般資料」だった。

 一方、松江支店によると、流出した資料は複数のサイトで閲覧可能な状態になっていた。流出が判明した21日以降、サイト側に削除を要請。いったんは削除されたことを確認した。しかし、22日午前中には再びネット上で閲覧可能な状態になっていたという。

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日銀松江支店の情報流出:「日銀につぶされる」 「破綻懸念先」記載、怒る被害企業

 日本銀行松江支店からインターネット上に流出した金融機関検査の内部情報には、経営状態という企業の死活問題にかかわる内容も含まれていた。特に、金融機関が「破綻(はたん)懸念先」と判断していたことが分かった島根県内の企業3社には深刻だ。

 3社は、ある信用金庫の06年度決算見込みの中で「破綻懸念先へランクダウン」したと記載されていた。

 このうち酒販業者(73)は「経営状態はよくないが、家族全員で歯を食いしばって資金繰りをつけながら頑張ってきた。しかし、これで、つぶれるかの瀬戸際に追い込まれた思いだ」と憤った。

 雑貨宝石業の社長へは21日、日銀松江支店職員と取引先の金融機関の役員が来て、説明をした。金融機関の役員は「責任を持ってバックアップする」と約束したが、不安は消えない。「口コミで広がるのが怖い。今日は2ちゃんねるをずっと見ていて仕事にならなかった。まだ書き込みもあるので、早く沈静化してほしい」と訴えた。

 松江市母衣町の日銀松江支店では22日正午から、吉岡伸泰支店長らが記者会見。吉岡支店長は「(流出したのは)業務に関する重要なものばかりで、信用不安につながる可能性もある」と述べ、苦渋の表情を浮かべた。

 ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」の暴露ウイルスに感染する原因を作った男性職員の私物パソコンに入っていた情報は39件。決算資料(2金融機関と融資先14社)と16金融機関に対する検査資料で、うち5件の流出を確認している。

 この中には、02~06年度に実施した金融機関の検査結果として、「良好」「普通」「物足りない」などの評価を記載した資料や08年度の検査対象の金融機関名、検査方針が記載された資料もあった。【小坂剛志、細川貴代、御園生枝里】

 ◇企業には死活問題--山口義行・立教大経済学部教授(金融論)の話

 企業にとって金融情報は、命にかかわる重要な情報。「破綻懸念先」などを取引先などが知れば、資金繰りや日常の取引に影響する。資金繰りが止まったら企業は倒産するので、この情報流出をきっかけに倒産したら法的に損害賠償を請求されてもおかしくない。普通の銀行でも資料の持ち帰りなどは厳禁しており、日銀で起きるとは信じがたい。

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