Wednesday, May 14, 2008

遺伝子組み換え作物:非「組み換え」減る外国産 価格高騰、業者ら悲鳴

遺伝子組み換え作物:非「組み換え」減る外国産 価格高騰、業者ら悲鳴

 世界的に主流になりつつある遺伝子組み換え(GM)作物。そのあおりで、組み換えでない(ノンGM)大豆やトウモロコシの確保が困難になり、価格も高騰している。豆腐は「1丁200円」時代が目前に迫り、コーンスターチ(でんぷん)はGMトウモロコシを使う動きが出てきた。【小島正美】
 ◇豆腐店廃業急増、国産はブランド化
 ◇用途で使い分け…もう限界?

 「ノンGM大豆の輸入価格は昨年の約2倍。原料高を価格に転嫁できず、倒産に追い込まれる製造業者が出てきた」。豆腐メーカーでつくる日本豆腐協会(東京)の木嶋弘倫・専務理事は訴える。

 日本の大豆輸入量は約400万トンで、主な輸入先は米国約320万トン、ブラジル約38万トンなど(06年)。すでに、米国では大豆の作付面積の約9割、ブラジルでは半分以上を組み換え品種が占めている。

 日本では豆腐や納豆などの加工食品にGM作物を使った場合、表示義務がある。消費者の抵抗感も強い。そのため、GM大豆は家畜のえさや食用油に、ノンGM大豆は豆腐やみそ、納豆にと使い分けてきた。

 だが、肝心の外国産ノンGM大豆は、入手が困難になる一方。米国のほとんどの生産者が、農薬使用量が少なく、収穫量も多いGM大豆を栽培するようになってきたためだ。

 三井物産食料・リテール本部によると、車の燃料になるエタノール需要で原料のトウモロコシ価格が上がり、大豆からトウモロコシに切り替える生産者が増えていることも背景にある。

 松田文彦・同社食品大豆チーフトレーダーは「出張の際、農業関係者に豆腐など日本料理を振る舞って、ノンGM大豆の栽培を理解してもらうよう努力している」と話す。

 GM大豆の輸入価格は1トン当たり約6万円前後に対し、ノンGMは同9万円前後。国産大豆は同約15万~17万円とさらに高い。コスト高は零細が多い豆腐製造業者を直撃。昨年1年間で、東京都内では約900軒のうち約80軒が廃業に追い込まれた。

 米国産と国産大豆をブレンドした付加価値が高いブランド豆腐(1丁160円)を売る東京都豆腐商工組合理事長の柳本恵三さん(70)=東京都江東区=は「国産大豆にこだわるなら高価格は仕方がない。安い方がいいなら、消費者にGM豆腐を受け入れてもらうしかない」と苦渋の表情で語る。

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 トウモロコシも、ノンGMの入手が困難になってきた。日本は06年、米国から約1600万トン輸入したが、米国では既に約7割がGMだ。

 日本では、これまで輸入GMトウモロコシは主に家畜のエサに回され、清涼飲料類や水あめの液糖、ビール発酵用には、ノンGMのスターチを輸入してきた。

 だが、日本スターチ・糖化工業会(東京)によると、原料の高騰と入手難で企業の存続自体が危うくなり、今年2月、ついにGMスターチを輸入し始めた。すでに清涼飲料に使われ始めた模様だ。

 発酵にコーンスターチを使うビール業界では、GMを使いたい意向は強いようだが、「消費者の反発が予想され、使いたくても使えない」(大手ビールメーカー)という。

 先月下旬、アメリカ穀物協会が、東京都内で開いたシンポジウム。出席した米国イリノイ州の農家は「ノンGMトウモロコシは、農薬の使用量が多いうえ手間ひまがかかり、栽培のメリットがない」と指摘した。ノンGMトウモロコシの生産量が再び増える見込みは薄いと言えそうだ。

 こうした動きに、有田芳子・主婦連合会環境部長は「ノンGM原材料の入手が困難なら、GM使用もやむを得ないのではないか。だが、消費者が自分の意思で選択できるように、食用油なども表示してほしい」と話している。

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