Wednesday, March 26, 2008

新銀行東京、ぶれる石原知事発言 説明尽くせと批判も

新銀行東京、ぶれる石原知事発言 説明尽くせと批判も

2008年03月25日16時50分

 経営難の新銀行東京に都が追加出資する議案が可決される公算が大きくなっているが、石原慎太郎知事が説明責任を果たしていないとの批判も強まっている。追加出資自体、自身が昨年末まで否定していたのを覆して提案。「議会で明らかにする」とした再建策も、詳細を聞かれると「専門的な質問が多すぎる」とはぐらかし、発言のぶれや軽さが目立つ。朝日新聞社の世論調査では、都民の83%が知事の説明が「不十分だ」と答えている。

 「『融資先が6カ月もてばいいからどんどん貸せと旧経営陣が指示していた』という発言に根拠はあるのか」

 11日の都議会予算特別委員会。知事が繰り返していた発言に共産都議が疑義を唱えると一瞬、顔をこわばらせた。前日、新銀行が「旧経営陣による同様の発言は確認できなかった」と認めたが、知事は「報告書に書いてある。信じないのか」と突っぱねた。ただ公表された報告書には記載がない。

 新銀行をめぐる知事の発言は揺らいできた。昨年12月の都議会で「考えていない」と発言した追加出資は、今年2月20日の都議会で「他に方法がない」と一転した。

 新銀行の報告書が経営責任を指摘した仁司泰正・元代表執行役の任命責任について「経団連の重鎮の推挽(すいばん)を受けた。それを信じるほかない」としていたが、14日の記者会見でトヨタの奥田碩・前日本経団連会長が否定したと追及されると「推挽を受けたというのはちょっと乱暴な言い方だったかも」と訂正した。

 追加出資の根拠や再建策については、記者会見のたびに「予算委員会を傍聴して」とかわしていた。その委員会では「目前に迫る(銀行の)墜落を考えると、これしか施策が無い」などと話すだけで答弁の大半は担当局長任せ。その後の記者会見で「民主党の質問は専門性があったが本質的な状況認識につながらなかった。議論をする余地はない所まで来ている」と逃げ腰だった。

 ある都幹部は「発言のぶれをみると、知事は銀行の実態を把握しているのか疑問を感じてしまう」。別の幹部は「暴走している知事をだれも止められない」と話す。

    ◇

 07年の都知事選に立候補した浅野史郎・慶応大教授の話 新銀行東京の問題に限らず、石原さんには緻密(ちみつ)な議論を元にせず、アバウトにわーっと進めてしまうような所がある。中小企業支援は都の制度融資で対応できるのに、「でっかいものを打ち上げなければ」と銀行を立ち上げ、銀行が危機になっても「失敗してごめんなさい」と言えないから、引き返せない。最初から最後まで「石原氏らしさ」が出ている。巻き込まれる納税者には迷惑な話だ。

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新銀行東京、再建なお難問・資産圧縮、効果は不透明

 経営難に陥っている新銀行東京(東京・千代田)への追加出資について東京都議会は25日、採決前の総括的な質疑に入る。自民、公明が賛成の方向で可決される見通しだが、増資後の計画には疑問点が残り、見込み通りに進むかは不透明だ。「単独再建は難しい」(石原慎太郎知事)として、他の金融機関との提携を目指すものの、交渉は難航も予想される。再建への明確なシナリオは見えてこない。

 同行の増資後の計画では、4年後の預金残高は現在の20分の1、貸出残高は5分の1と信用組合並みの規模にする縮小均衡路線を打ち出している。縮小せざるを得ないのは理由がある。同行の預金のうち9割以上は他行よりも高い金利で集めた定期預金で、ここ数年で満期を迎える。同行は再び高金利を提示する予定はなく、大半は他の金融機関に向かう可能性が高いとみている。

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新銀行東京:報告書入手せずに答弁 東京都

 「新銀行東京」(千代田区)から400億円の追加出資を求められている東京都が、経営悪化の原因をまとめた同銀行の調査報告書の全文を入手しないまま、議会答弁などに当たっていたことが分かった。市民団体「行革110番」の後藤雄一都議が開示請求したところ、都は「(報告書は)都に存在しない」と回答した。後藤都議は「出資者の都の手元に報告書がないのは信じられない。都民を馬鹿にしている」と非開示決定の取り消しを求め提訴する。

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新銀行東京、清算も一時検討・都議会委

 経営難に陥っている新銀行東京(東京・千代田)への追加出資の是非を審議している東京都議会は25日、予算特別委員会で締めくくりの総括質疑を行った。この中で都は、同行が事業清算を検討し、他の金融機関に受け皿になるよう打診したが交渉が不調に終わったことを明らかにした。一方、同行への経営監視を強化するため、行内と都庁内に2つの監視機関を設置する方針も示した。

 同行は昨年夏以降、国内外の11金融機関と資本・業務提携や経営統合の交渉を進め、すべてに断られている。産業労働局の佐藤広局長はその経緯を説明する中で「事業清算を行う場合の協力的な役割を担ってもらえるかという交渉をした銀行もあった」と述べた。

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都基本計画の問題点、報告書から削除・新銀行東京

 新銀行東京が経営難の原因を分析した調査報告書で、当初盛り込まれるはずだった東京都の基本計画の問題点が削除されていたことが25日、関係者の話で明らかになった。報告書は旧経営陣の責任を強調し法的措置も検討。一方で、石原慎太郎知事に責任が及ぶことに配慮し言及を避けた格好で、調査の正当性が問われそうだ。

 報告書は昨年7月、行内の委員会が調査を始め、今年3月まとめた。当初、多額の融資焦げ付きの一因として、財務データに依存した「無担保・無保証融資」を主力商品とするビジネスモデルが、開業当初から実現困難だったという視点を盛り込む方針だった。同融資は都が2004年作成した基本計画「新銀行マスタープラン」の目玉で、設立母体の都の責任が指摘されるはずだった。

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新銀行東京への追加出資案を可決・都議会予算特別委

 東京都議会は26日、経営再建中の新銀行東京(東京・千代田、津島隆一代表執行役)に400億円を追加出資する都の来年度補正予算案を予算特別委員会で採決し、都議会与党の自民、公明が付帯決議を付けて賛成し、議案は可決された。28日の本会議で正式に議決される予定。再建策が見えないなどとして、追加出資には都民の反発が根強く、都や都議会に改めて批判が集まりそうだ。

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新銀行東京:顧客審査の8割を外部委託へ 銀行として異例

 「新銀行東京」(東京都千代田区)が再建計画の柱とする新たな投融資・保証業務(年間約600億円)のうち、中小企業向け一般融資(担保・保証付き)以外の審査を外部金融機関などに委託することが分かった。委託割合は、主力商品だった「無担保融資」を含め、顧客審査の約8割(金額ベース)に上る。審査の外注は極めて異例で「銀行の体をなしていない」との批判も出ている。【三木陽介、村上尊一】

 同行が2月に公表した再建計画によると、1年間の投融資・保証の内訳は、(1)ベンチャー企業向け融資100億円(2)ベンチャー支援などのファンドへの投資100億円(3)中小企業向けの一般融資(原則担保・保証付き)150億円(4)中小企業向けの小口融資(無担保、上限1000万円)50億円(5)別の金融機関が行う融資に対する保証200億円--となっている。

 このうち、融資の可否などを決める審査を「自前」で行うのは(3)の担保・保証付き融資だけになる。(1)、(2)はベンチャー企業向けの投資を専門とするベンチャーキャピタル▽(4)はノンバンク▽(5)は信用金庫--などの審査力を活用する計画だ。

 同行では、05年4月の開業から今年1月までの融資・保証実行額2586億円のうち約11%の285億円が焦げ付いている。大半が中小企業向け無担保・無保証融資で、融資担当者がコンピューター審査に頼ったずさんな審査をしていた。

 外部委託は、実績ある金融機関の審査力を借りて焦げ付きなどのリスクを抑えるのが狙いだが、提携先については交渉中で決まっていないという。新銀行東京は「今後ノウハウを蓄積していけば自分たちで審査できるようになると思う」と話している。
 ◇責任所在が不明確

 経済ジャーナリストの須田慎一郎氏の話 保証業務は別として、審査を外注に頼るのはそもそも銀行の体をなしていない。ベンチャー向け融資やファンドはハイリスク・ハイリターンで焦げ付いた時の責任の所在が不明確になる恐れもある。

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