Saturday, February 9, 2008

怒りの父 相撲協会と法廷闘争も…

怒りの父 相撲協会と法廷闘争も…
無念さをにじませ、会見会場を後にする故・斉藤俊さんの父・正人さん
Photo By スポニチ

 協会を訴える!時津風部屋の傷害致死事件で死亡した序ノ口・時太山=ときたいざん=(当時17、本名・斉藤俊=たかし=さん)の父・正人さん(51)が8日、日本相撲協会(北の湖理事長)に対して損害賠償を求め、民事訴訟を起こす意思があることを表明した。前時津風親方(元小結・双津竜)の山本順一容疑者(57)らの逮捕を受けて都内で行った会見で、正人さんと担当弁護士は示談が成立しない場合、提訴に踏み切る考えを示唆。賠償額は億単位になるとみられる。 【暴行事件特集】
 正人さんは2人の担当弁護士に付き添われ、やつれた表情で会見に臨んだ。事件が表面化してから逮捕まで半年以上かかり、弁護士によれば「心労でまいっている状態だった」という。前親方と兄弟子の逮捕でようやく迎えた1つの区切り。「傷害致死で起訴されることを期待しています。(捜査に)長い時間がかかったので、それに応えてやっていただけるものと期待している。相手(協会)が大きいから、もみ消されるんじゃないかという不安があった。(息子も)少しは無念が晴れたのではないか」と心境を語った。

 今後は起訴までの手続きを見守ると同時に、前親方、3人の兄弟子、そして協会に対して損害賠償請求の検討を始める。昨年12月に、前親方の弁護士から示談の話が持ちかけられたが、その時は「立件前だったので断った」。しかし、7日の逮捕で区切りがついたため、これからは損害賠償請求について協会側と話し合う意向だ。

 だが、その話し合いの内容次第では、裁判も辞さない強い姿勢も示した。担当弁護士は「北の湖理事長が9月にお父さんに謝罪に来られた時は、自分たちに責任があるというようなことを言われた。これから向こうと交渉して話がまとまらなければ(民事訴訟に)入る」と説明。正人さんは会見で「しっかり管理していれば防げる件だった」と話した。大事な息子を失った怒りは、収まっているはずもなかった。

 斉藤さんが、死亡前日の昨年6月25日昼から食事をしていなかったという驚くべき事実も愛知県警の捜査で明らかになった。同日昼前に部屋から逃げ出したため、昼は食べておらず、夕食の席では前親方の説教を受け続けていた。斉藤さんが自室に戻った時は衰弱しきっており、別の兄弟子からパンなどを薦められたが、口の中が暴行で血だらけで言葉を発する元気もなかったという。

 一方で、前親方が「瓶で殴ったことは黙っていろ」と弟子を集めて口裏を合わせようとしていたことも判明。警察の取り調べに対しても制裁の指示はなかったと否認している。正人さんは会見で「元親方には本当のことを言ってほしい」と強い口調で訴えた。

 7日夜に愛知県警から逮捕の連絡を受けた時、正人さんは斉藤さんの仏壇に「これからもっと厳しくなるだろうから力を貸してくれ」と語りかけたという。ただ、遺骨は「私が初代になるのでまだお墓はできたばかり。1人で入れるのはしのびない」と正人さん。納骨の前に、まだやることは残っている。

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【大相撲】山本容疑者が暴行助長…食事与えず衰弱、隠ぺい工作も
元親方の逮捕から一夜明けた8日も、時津風部屋の前には大勢の報道陣が集まった

元親方の逮捕から一夜明けた8日も、時津風部屋の前には大勢の報道陣が集まった

 大相撲の時津風部屋の元親方、山本順一容疑者(57)=元小結双津竜、顔写真=と兄弟子3人の傷害致死容疑による逮捕から一夜明けた8日、死亡した序ノ口力士、時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=が食事も与えられず暴行を受けていたなど、新たな事実が次々と明らかになってきた。



 斉藤俊さんは死亡前日の昼から食事を取らず、夕食のちゃんこも与えられないまま暴行を受け、就寝前には衰弱し切っていたことが愛知県警の捜査本部の調べや関係者の話で分かった。

 捜査本部は、体力が衰えた斉藤さんが翌日の兄弟子による過度なぶつかりげいこで死亡に至ったとみている。

 また死亡前日、山本順一容疑者が斉藤さんを柱に縛るよう兄弟子に命じた後「場所前なのに縁起が悪い」と、ロープをほどかせていたことも判明。山本容疑者は斉藤さんの容体には無関心な様子で、兄弟子の暴行で斉藤さんが悲鳴を上げているのを聞いても、そのまま食事や飲酒を続けていたという。兄弟子は斉藤さんを宿舎の外に連れ出し、木の棒でさらに暴行したとされる。

 捜査本部の調べや関係者の証言によると、斉藤さんは昨年6月25日の昼前に部屋から逃げたため、昼食を食べていなかった。夕食のちゃんこの席でも食事を与えられず、山本容疑者の説教を受け続けたという。

 山本容疑者はビール瓶で斉藤さんを殴った後、「てっぽう柱に縛れ」と指示。兄弟子が暴行後、斉藤さんをけいこ場の柱にロープで縛り付けて戻ると「場所前なのに縁起が悪い。ほどけ」と指示を一転させたという。

 この後、しばらくして夕食は終了。山本容疑者は自分の部屋に引き揚げる際、兄弟子に「相撲を続ける気があるなら、もう一度おれのところに来いと斉藤に言え」と指示。しかし斉藤さんは行こうとしなかったという。

 斉藤さんは飲まず食わずで、兄弟子がパンなどを勧めたが、斉藤さんは口内が暴行で血だらけの上、言葉を発する元気もないほど弱っていたといい、翌日そのまま伊塚雄一郎容疑者(25)ら兄弟子の制裁目的の激しいぶつかりげいこを受け、死亡した。

 兄弟子は任意段階の県警の聴取に「(元親方が止めないので)暴行を了承されたと思った」と供述。捜査本部は、部屋で絶対的な権限を持つ山本容疑者が制止しなかったことが兄弟子の暴行を助長させた可能性が高いとみて調べている。

 山本容疑者は翌26日のぶつかりげいこの際、持っていた約1メートルの木の棒を無言で兄弟子らの足元に投げ、兄弟子がその棒で暴行。捜査本部は「棒で殴れ」という事実上の指示だったとみている。

■時津風部屋の力士急死事件

 名古屋場所前の昨年6月26日、時津風部屋で序ノ口力士の時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=がぶつかりげいこの後に倒れて死亡。愛知県警犬山署員が遺体を見て病死と判断し、検視官も臨場しなかったが、暴行を疑った遺族が新潟大に解剖を依頼したところ「多発外傷性ショック死」との結果が出た。その後の捜査で、同月25日夜に元時津風親方がビール瓶で斉藤さんを殴打し、26日も通常は5分程度のぶつかりげいこを30分以上続けていたことが判明。愛知県警は2月7日、暴行が死亡につながったとして傷害致死容疑で元親方と兄弟子の計4人を逮捕した。

★口裏合わせも

 斉藤俊さんが死亡した後、山本順一容疑者は「ビール瓶でわしが殴ったことは黙っていろ」「金属バットのことは言うな」と、弟子を集めて口裏合わせを繰り返していた。複数の内部関係者によると、相撲部屋の自室に集めた弟子を前に、山本容疑者が口裏合わせを指図し始めたのは、斉藤さんが死亡した2日後の昨年6月28日。愛知県警の事情聴取が始まると、聴取から戻った弟子に何を話したか報告させた上、斉藤さん死亡の経緯についてつじつまが合う説明ができるよう、ほかの弟子にこと細かに指示。本場所を前にしたけいこはそっちのけの“隠ぺい工作”が連日繰り返されたという。

★1時間朝げいこ

 元親方と兄弟子3人が逮捕された翌日、東京・両国の時津風部屋では朝げいこが行われた。午前8時から約1時間、新十両として春場所に臨む土佐豊らが汗を流した。「ほとんど、しこと鉄砲中心です」と部屋付きの枝川親方(元幕内蒼樹山)は説明。前日に続いて部屋の周辺に大勢の報道陣が集まっている中、黙々と非公開でけいこは進められた。

★父、正人さん「協会が俊の死で少しでも変わっていけば…」

 死亡した斉藤俊さんの父、正人さん(51)が8日、都内で会見し、元親方の山本順一容疑者(57)らの逮捕について心境を語った=写真。

 「全国から励ましの電話や手紙をいただいた。皆さんにお礼を申し上げたい」と頭を下げ、俊さんに「少し無念は晴れたのでは。これから(裁判などで)厳しくなるから、もうちょっと私に力を貸してくれ」と報告したことを涙ながらに語った。会見中もみけんにしわを寄せ、視線は下向きがち。沈痛な表情で思いを絞り出すかのように言葉を重ねた。

 暴行指示を否認している山本容疑者に対しては「どんなことをしたらあんな風になるのか。これからは、本当のことを言ってほしい」。日本相撲協会に対しては、「俊の死で少しでも変わっていけばいいのではないか」と祈るように話した。

 同席した正人さんの弁護士は「刑事裁判の行方を見ながら」とした上で「日本相撲協会や逮捕された親方、兄弟子3人について、監督責任を問う損害賠償請求の民事訴訟を視野に入れている」と明かした。

★再発防止検討委員会が予定通り部屋回り

 時津風部屋の序ノ口力士がけいこ後に急死した問題を受けて発足した「再発防止検討委員会」は8日、予定通り部屋回りを行った。友綱理事(元関脇魁輝)は「今まで以上に健康管理、けいこ場の管理について聞き取りした」と述べた。外部委員の塔尾武夫氏(日本相撲連盟副会長)は「入間川部屋では、相撲教習所に通っている1年間は(弟子のけいこを)ゆっくりやり、育ってきてから本格的なけいこに入ると聞きました」と語った。

★初動捜査を問題視

 鳩山邦夫法相は8日、力士急死事件を警察が当初「病死」と判断したことについて「検視官や解剖医の数が極めて少ない。死因究明の体制整備を予算、人員の面で構築し直さないといけない」と述べた。また、泉信也国家公安委員長は同日、「(初動捜査で)検視官の臨場をあおぐべき状況があったかもしれない。警察行政の在り方として大いに反省すべき事柄だと思う」と述べた。

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相撲協会の提訴検討 遺族「部屋の監督怠った」

2008年2月9日 朝刊

前時津風親方らの逮捕を受け記者会見する、死亡した斉藤俊さんの父正人さん=8日午後、東京・永田町で
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 大相撲時津風部屋の傷害致死事件で、死亡した序ノ口力士斉藤俊(たかし)さん=当時(17)=の父正人さん(51)が8日、弁護士とともに東京都内で記者会見し、「時津風部屋の監督を怠った」として、日本相撲協会を提訴する方向で検討していることを明らかにした。

 正人さんは、事件に絡む民事訴訟について相談している冨田烈弁護士らとともに会見。冨田弁護士が「協会に対しても法的措置を考えている」とした。

 同弁護士によると、昨年10月、北の湖理事長が新潟市内の遺族宅を訪れて謝罪した際、「協会にも責任がある」という趣旨の発言をしたといい、同弁護士は「『責任』について具体的に説明を聞き、内容が不十分ならば提訴したい」と話した。時期は、傷害致死容疑で逮捕された前時津風親方の山本順一容疑者(57)らの公判の進展を見ながら判断するとしている。

 正人さんは会見で、「協会や親方(山本容疑者)がしっかり管理していれば、こんな事態にならなかったはず。俊の死がきっかけで、少しでも良くなってくれればと思う」と話した。

 また、山本容疑者と、同容疑で逮捕された兄弟子3人についても損害賠償を求めて提訴する方針という。

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死亡力士父、日本相撲協会を提訴へ…請求額は数億円

斉藤正人さん  時津風部屋の傷害致死事件で元時津風親方の山本順一容疑者らが逮捕されたことを受け、死亡した序ノ口力士・時太山さん)の父・正人さん(51)=写真=は8日、日本相撲協会に対し、損害賠償を求める民事訴訟を起こす考えがあることを明らかにした。請求額は数億円になるとみられる。

 斉藤さんと担当弁護士は同日の会見で、昨年10月に北の湖理事長(元横綱)と伊勢の海理事(元関脇藤ノ川)が新潟市内の実家を訪れた際、斉藤さんら遺族に対し「協会にも責任はある」と明言していたことや、昨年12月に、山本容疑者の弁護士から示談を持ちかけられていたことなどを明かし、「まずは、その(北の湖理事長の)言葉がどのような意味を持つのか問いたい。示談は立件前だったので断った」などと説明した。

ZAKZAK 2008/02/09

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斉藤さん父 本格的に民事訴訟の準備へ
 会見中に唇をかみしめ、悔しげな表情を見せる時太山の父・斉藤正人さん=東京・永田町の衆議院第二議員会館

 時津風部屋の傷害致死事件で、死亡した序ノ口力士、時太山(ときたいざん)=当時17歳、本名斉藤俊(たかし)さん=の父・正人さん(51)が8日、都内で弁護士とともに会見。元時津風親方の山本順一容疑者と兄弟子3人の逮捕から一夜明けたこの日、民事訴訟についても捜査の進展を見守りながら本格準備に入ることを改めて明らかにした。

 元親方、兄弟子3人には、遺族の精神的苦痛も含めた損害賠償を請求する方針。また日本相撲協会に対しても「管理不行き届き」などで提訴を検討する。正人さんは「親方に絶対の力がある世界。仕方のない部分はあるが、もうちょっと考えてもらえばこんなことにならなかった」とし、協会の管理責任を問題視した。さらに山本容疑者から示談を申し入れられたことも認め、弁護士は「損害賠償の一部という話があったが、立件されない段階で考えられないと断った」と説明した。

 同容疑者らが傷害致死容疑で逮捕されたことには「望んでいたことの最低限度。感謝したい」と述べ、前日は亡くなった俊さんに報告。「ちょっとは無念は晴れただろうが、もっと厳しくなるかもしれない。もう少し力を貸してくれ」と、自宅の遺骨に手を合わせたという。

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元時津風親方 悲鳴を“さかな”に酒

 時津風部屋の傷害致死事件で、序ノ口力士、時太山(ときたいざん)=当時17歳、本名斉藤俊(たかし)さん=の死亡前日、元時津風親方(元小結双津竜)の山本順一容疑者(57)はいったん柱に縛るよう兄弟子らに命じながら「場所前なのに縁起が悪いから解け」と指示を一転させていたことが8日、愛知県警捜査本部の調べなどで分かった。また、死亡前日から食事も与えられず、衰弱した状態で死亡当日のけいこを受けていたことも判明した。

 ◇  ◇

 前親方と兄弟子らによる暴行の実態が、明らかになってきた。調べや関係者の証言によると、山本容疑者は昨年6月25日夜、愛知県犬山市の部屋宿舎で斉藤さんをビール瓶で殴った後、「お前らもやってやれ」「てっぽう柱に縛れ」と指示。兄弟子が暴行後、斉藤さんをけいこ場の柱にロープで縛り付けて戻ると、「場所前なのに縁起が悪い。ほどけ」と言ったという。

 この前後に兄弟子3人が別の部屋で暴行を繰り返した時、山本容疑者は斉藤さんの容体には無関心な様子で、そのまま食事や飲酒を続けたという。夕食の席に暴行の音や兄弟子の「おらあ」という掛け声、「あー」という斉藤さんの悲鳴が響いていたが、山本容疑者はビールを飲みながら食事を続け、ほかの弟子と話をしていたという。兄弟子は斉藤さんを宿舎の外に連れ出し、木の棒でさらに暴行したとされる。

 兄弟子は任意段階の県警の聴取に「(元親方が止めないので)暴行を了承されたと思った」と供述。捜査本部は、部屋で絶対的な権限を持つ山本容疑者が制止しなかったことが兄弟子の暴行を助長させた可能性が高いとみて調べている。

 山本容疑者は翌26日のぶつかりげいこの際、持っていた約1メートルの木の棒を無言で兄弟子らの足元に投げ、兄弟子がその棒で暴行。捜査本部は「棒で殴れ」という事実上の指示だったとみている。

 また斉藤さんが死亡前日の昼から食事を与えられず、衰弱した状態で死亡当日にけいこを受けていたことも判明した。斉藤さんは同日昼前に部屋から逃げたため、昼食を食べておらず、夕食のちゃんこも山本容疑者の説教や暴行で食べなかった。就寝前、別の兄弟子がパンなどを勧めたが、斉藤さんは口内が暴行で血だらけの上、言葉を発する元気もないほど弱っていたという。

 捜査本部によると、逮捕された兄弟子2人は容疑を認めているが、別の1人と山本容疑者は「制裁目的ではない」などと否認している。

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斉藤さんに説教と暴行繰り返し3時間

 時津風部屋の力士傷害致死事件で、元親方の山本順一容疑者(57)が時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=の死亡前日、「何度謝っても信用できない」と説教し、合間に兄弟子が暴行するという繰り返しが約三時間続いていたことが九日、愛知県警捜査本部の調べや関係者の話で分かった。

 捜査本部によると、山本容疑者は調べに「(斉藤さんが)はっきりしない態度で怒った。ビール瓶で腹などを約十回小突き、一回は額を殴ったが、制裁ではない」と否認。兄弟子の一人は「暴行をやめればよかったが、親方は絶対の存在で逆らえなかった」と供述しているという。

 捜査本部は同日、傷害致死容疑で元親方ら四人を送検した。

 また兄弟子の伊塚雄一郎容疑者(25)が斉藤さんを金属バットで四、五回殴打していたことも判明。山本容疑者は逮捕前、関係者に「バットの暴行は一回だけですぐ止めた」との趣旨の発言をしていた。

 捜査本部の調べなどによると、山本容疑者は昨年六月二十五日午後七時ごろ、夕食の席で、部屋から逃げた斉藤さんに「おまえのように根性のないやつは初めて」「頭を下げて『面倒見てほしい』と頼んできたお父さんがかわいそうだ」などと約三十分間、説教した後、ビール瓶で殴打。さらに伊塚容疑者らが木の棒を使って約三十分間暴行したとされる。

 部屋に連れ戻された斉藤さんは謝ったが、山本容疑者は「何度謝っても信用できない」と言い、再び兄弟子が暴行。午後十時ごろまで繰り返されたという。

 翌二十六日午前のぶつかりげいこの際、伊塚容疑者は金属バットを持ち出して斉藤さんの腰のあたりを殴った。山本容疑者は最初黙認し、伊塚容疑者が四、五回殴った後に止めたという。

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斉藤さんへの金属バット殴打は4、5回

 時津風部屋の力士傷害致死事件で、逮捕された兄弟子の伊塚雄一郎容疑者(25)が時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=の死亡当日、金属バットで4、5回、斉藤さんを殴打していたことが9日、愛知県警捜査本部の調べで分かった。元親方の山本順一容疑者(57)は逮捕前、関係者に「バットの暴行は1回だけですぐ止めた」との趣旨の発言をしていた。

 捜査本部は同日、傷害致死容疑で山本容疑者ら4人を送検した。

 捜査本部によると、山本容疑者は昨年6月26日午前11時ごろ、朝げいこが終わり引き上げようとする斉藤さんと兄弟子の木村正和容疑者(24)を引き留め、ぶつかりげいこをするよう指示。風呂場に移動した伊塚容疑者らほかの兄弟子も集まり、ぶつかりげいこは約30分間続いた。

 この間、倒れた斉藤さんに兄弟子が何10発も張り手やけり上げる暴行を繰り返し、伊塚容疑者は宿舎裏にあった金属バットを持ち出して斉藤さんの腰のあたりを殴ったという。

 山本容疑者はこれを黙認し、伊塚容疑者が4、5回殴った後に止めたという。けいこ自体はそのまま続けられた。

 日本相撲協会の関係者は県警の事情聴取に「金属バットの暴行はあり得ない。見たことない」などと話し、捜査本部もけいこを逸脱したことを示す物証として昨年七月、金属バットを押収している。

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相撲協会、外部理事招へいを検討 北の湖理事長が表明

2008年02月08日16時53分

 日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は8日、協会の最高意思決定機関である理事会に外部理事の起用を検討することを明らかにした。近く開く理事会で正式に議題にのせる。

 現在の理事は10人全員が元力士。1月に改選があったが、3期連続で無投票だった。

 この日午前、時津風部屋の事件について担当理事が文部科学省で謝罪。その際、松浪健四郎副大臣から「国民の声が届くように改善してほしい」と外部理事の起用を求められたため、検討を決めた。

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初動捜査のまずさ認める 愛知県警、苦渋の会見

2008年2月8日 朝刊

 愛知県警は7日夜、県警本部で記者会見。当初は死亡した斉藤俊さんの死因を「病死」と判断した点について、犬山署の都築幸雄署長は「事件かどうか、もう少し慎重に判断すべきだった」と初動捜査のまずさを認めた。

 舘喜代孝捜査一課長は「難しい状況だった」と振り返り「事件当初、7人の警察官が現場に行くなどして事情聴取した。レントゲンやCT検査の結果、医師から心不全だと聞き、署員が虚血性心疾患で病死だと判断した」と続けた。

 本格的な捜査を始めたのは、新潟市に住む斉藤さんの遺族が新潟大での解剖を望み、解剖の結果、死因が多発外傷性ショックと分かってからだった。舘課長は「検視官に出動要請をしていれば、司法解剖をするという判断もあった」と苦渋の表情。「事件後、変死事案があれば必ず検視官や県警本部の当直員が事件性を判断し、捜査に穴がないようにしている」と力を込めた。

 同日午後8時すぎに斉藤さんの父正人さんと電話連絡が取れ「ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」と感謝の言葉を受けたとも話した。

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