Thursday, January 31, 2008

中国製食品の使用中止、外食で相次ぐ

中国製食品の使用中止、外食で相次ぐ

 中国製ギョーザに有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入していた問題を受け31日、ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは、同日から中国で加工された食品約300種類のうち必要と判断した食品の利用を、グループの外食店舗約3300店すべてで中止することを決めた。小売りでも、中国製の冷凍食品をすべて店頭から撤去する企業も出ており、影響が広がり始めた。

 すかいらーくが使用している中国での加工食品約300種類は、同社が利用している食材の約1割にあたる。中国で加工された食品はエビフライなど、中核商品に必要なものも多く「提供中止になるメニューが出る可能性が高い」とみている。(16:04)

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天洋食品から輸入、ギョーザ以外の製品でも19社

 中国製冷凍ギョーザを食べた人が中毒症状を訴えた問題で、厚生労働省は31日、問題のギョーザを製造した中国・河北省の食品輸出入集団天洋食品工場からギョーザ以外の製品を輸入している全国の19社を公表した。昨年1月から今月30日までに届け出があった約820件(約2500トン)分。厚労省は安全性が確認されるまで販売を中止するよう、自治体を通じ要請した。

 製品は煮た牛肉や豚肉、ソーセージなどが中心。輸入業者から食品会社に流通し、レストランや食卓に並んでいるとみられる。厚労省は「製品名などは判明次第、公表する」としている。

 19社は、天野食品(愛知県)、東海澱粉(静岡市)、ワントレーディング(大阪市)、インターグローバル(同)、KH通商(同)、タニインターナショナル(同)、豊田通商(同)、日佳食品(同)、西食産業(大阪府)、イメックス(同)、神戸物産(兵庫県)、ハイキクトレーディング(東京都港区)、ジャパンフード(同)、住金物産(同)、双日(同)、太洋物産(同)、シンポインターナショナル(東京都大田区)、日協食品(東京都中央区)、ジェイティフーズ (東京都品川区)。(12:44)

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“殺人ギョーザ”被害拡大…サリン同様の中毒症状
大半の国で使用禁止の農薬

“殺人ギョーザ”を撤去し始めたスーパーに張られた告知の紙。気付いた顧客はいいが、気づかず冷凍庫の備蓄に手を出すと…=30日(クリックで拡大)
“殺人ギョーザ”を撤去し始めたスーパーに張られた告知の紙。気付いた顧客はいいが、気づかず冷凍庫の備蓄に手を出すと…=30日(クリックで拡大)
 中国製の“殺人ギョーザ”を食べた消費者が農薬中毒を起こした事件は、被害が底なしに拡大する様相を呈している。未確認を含め被害者は31日朝までに15人に上っているが、厚生労働省などの徹夜の情報収集でも被害の全容はつかめていない。女児が命を落としかけた緊急事態にもかかわらず、警察が捜査に乗り出すまで危険性は見過ごされ続けた。手軽な保存食として全国に流通しながら気付かず冷蔵庫に眠っている製品も多いとみられ、流通巣さえ把握できない異常事態となっている。

 「まずい」

 ちばコープ市川店の宅配サービスで「CO・OP手作り餃子」を食べた男性会社員(27)は、25日夜にギョーザを5個食べ、すぐに異常を感じた。

 「40個入りの珍しさで、初めて注文しました。夜中に気分が悪くなり、翌朝には吐き気もひどくなりました。胃腸薬を飲み続け、ある程度治まっていましたが月曜日(28日)に再発し、会社を休みました」

 男性は、あまりの気分の悪さに顔面神経痛まで発症。報道直後に生協の消費者センターへ問い合わせたが、その対応にも不信感を抱いたという。

 「やっと電話が通じたと思ったら、『症状は食後すぐに出るはず。気のせいでは』などとあしらわれたあげく、『後日、配達担当から連絡させます』と告げられ、連絡先も聞かれませんでした」

 怒りが収まらない男性は31日に病院で検査を受けた後、宅配サービスを即刻解約する予定だ。

 ギョーザから検出された農薬「メタミドホス」はアブラムシなどの駆除に使われるが、体重50キロの人の致死量が1・5グラムという“猛毒”。元アジア学院校長の田坂興亜氏(化学)は「毒性が極めて高く、世界のほとんどの国で使用が禁じられている」と説明する。

 地下鉄サリン事件で使用された「サリン」と同じような、けいれんや下痢、嘔吐(おうと)といった中毒症状を見せる。老人や子供が許容摂取量を超えた場合、生命の危険も生じる。

 今回は工場の製造段階で混入した疑いが強いが、メタミドホスは中国本土でも昨年から使用が禁じられており、「未必の故意」だった可能性もある。千葉県警では当初、殺人未遂容疑での捜査も視野に入れていた。

 兵庫県高砂市で5日夕、一家3人で問題の「中華deごちそうひとくち餃子」を食べた男子高校生(18)は「苦いと感じたが、ハーブか何かと思い食べると、体が震え、いすから崩れ落ちた。その場で吐き、気が付くと病院のベッドだった」と語った。

 父親(51)は「入院中も震えが止まらず、死ぬかと思った」と恐怖を振り返った。

 「下痢や嘔吐(おうと)の症状が激しすぎ、明らかに普通の食中毒と違った」。23日に千葉県市川市で家族5人でギョーザを食べ、一時意識不明の重体となった女児(5)を診察したベテラン医師はそう直感したという。母親ら残る4人も重症で入院した。

 各国で使用禁止の猛毒が混入した“殺人ギョーザ”はなぜ、海を渡ったのか。

 2002年に中国産冷凍ホウレンソウから基準を上回る農薬が検出されるなど、一連の中国産食品問題を受け、日本では残留農薬の規制を大幅に強めた「ポジティブリスト制度」を導入した。

 今回、中国・河北省の「天洋食品」から問題のギョーザを輸入したジェイティフーズでも冷凍野菜については毎回、農薬検査を行っていた。だが、加工食品のギョーザについては、「思い付かなかった。考察が足りなかった」(同社幹部)という。

 厚生労働省幹部も「冷凍ギョーザに中毒を起こすほど農薬が含まれるとは予想もしなかった。ギョーザのように、さまざまな原材料で作られた加工食品の農薬検出は技術的に困難」とチェック体制に大きな盲点があったことを認めた。

 天洋製ギョーザは昨年10月、福島県内の生協で販売された商品からトルエンなどの薬品が検出されていた。また、3人が中毒となった千葉市のケースも、発覚が昨年12月28日だったにもかかわらず、「個別のにおいのクレーム」(生協連合会幹部)と判断して迅速な対応を取らず、結果的に被害を拡大させた。

 31日までに新たに埼玉や千葉、秋田で5人が中毒症状や体調不良を訴えていたことが判明。被害者は計15人に上っている。ジェイ社のほか、加ト吉や味の素冷凍食品、江崎グリコも製品の回収に乗り出した。

 天洋食品で農薬が検出された製品と同じ日に製造されたギョーザだけで1万5000パックが日本で販売されたが、天洋製全体になると、昨年1年間に1300トンもの冷凍ギョーザが輸入されている。「全国のスーパーなどに出回っており、どの店舗にどれだけあって家庭の冷蔵庫にいくら残っているかは把握しようがない」(ジェイ社幹部)という。

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中国産ギョーザ:埼玉、神奈川、秋田でも中毒症状の訴え

 埼玉県は30日、今月17日に「手作り餃子(ぎょうざ)」を食べた所沢市内の女性(33)が下痢や嘔吐(おうと)を発症していたと発表した。30日午後、女性が中国製冷凍ギョーザによる中毒報道を見て所沢保健所に届けた。既に回復している。県衛生研究所の分析では殺虫剤のメタミドホスは検出されなかった。

 県によると、ギョーザは昨年12月初旬、「さいたまコープ 所沢センター」から宅配された。下痢は2日間続き、市内の病院で当時、「ノロウイルスの疑い」と診断された。

 また、神奈川県小田原市と秋田市でジェイティフーズが輸入した「手包みひとくち餃子」を食べた計4人が下痢や吐き気などを訴えていたことも分かった。因果関係は不明で、いずれも軽症だった。

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