元時津風親方を逮捕へ、傷害致死容疑で兄弟子3人も
大相撲の時津風部屋の宿舎で、序ノ口力士だった斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山(ときたいざん)=が急死した事件で、愛知県警は、昨年6月25日から翌日にかけて繰り返された一連の暴行が死につながったと判断し、初場所終了後の来月上旬にも、傷害致死容疑で山本順一・元時津風親方(57)(元小結双津竜)と、暴行の中心になった兄弟子3人の逮捕に踏み切る方針を固めた。
県警のその後の捜査で、斉藤さんへの暴行は死亡前日の昼過ぎから始まっていたことが判明。3人の兄弟子のほか、暴行に加わった4、5人についても書類送検する方向で、近く検察当局と最終的な協議に入る。
斉藤さんは同年6月25日の夕食の際、同県犬山市内の宿舎で、元親方にビール瓶で額を殴られた後、宿舎裏で兄弟子から殴るけるなどの集団暴行を受けたとされ、翌26日のけいこ後、死亡した。
しかし、関係者の供述などから、暴行は25日の昼過ぎから、兄弟子数人によって繰り返し行われていたことがわかった。斉藤さんは厳しいけいこに嫌気がさして、この日の朝、宿舎から逃げ出したが、約700メートル離れた同市内のコンビニエンスストアで兄弟子に見つかり、連れ戻された。その後、夕食までの間も暴行されたという。
26日のぶつかりげいこでも、兄弟子の一部が金属バットで殴打していたことがわかっているが、県警ではどの行為が致命傷になったかを解明するのは困難なため、一連の暴行を一体としてとらえ、立件することにした。
元親方については、25日の夕食時、斉藤さんを脇に正座させ、説教をしながら額をビール瓶で殴打した末、一緒にいた兄弟子たちに「かわいがってやれ」と発言。複数の兄弟子も調べに対し、「元親方の指示でやった」などと供述していることから、県警は同容疑での立件が可能と判断した。
一方、名古屋大学で行われている組織片の再検査で、打撲などの衝撃を受けた際、細胞から血液中に流出するカリウムの濃度が通常よりも高い、心停止を引き起こすレベルだったことを確認した。一般的にこの濃度に達するには数日かかるといわれるが、強い打撃が体の広範囲に及ぶ場合は半日程度で達することもあるという。県警ではこれらのデータからも、25日の長時間の暴行と26日の外傷によって、外傷性ショックで死亡したとみている。
(2008年1月26日03時05分 読売新聞)
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元時津風親方逮捕へ…リンチ力士急死で2月上旬にも
元時津風親方 昨夏の名古屋場所前のけいこ中に急死した元序ノ口力士、時太山=当時(17)、本名・斉藤俊さん=が集団リンチを受けていた事件で、愛知県警は26日までに、初場所終了後の2月上旬にも傷害致死容疑で山本順一・元時津風親方(57)(元小結双津竜)=写真=と、暴行の中心になった兄弟子3人を逮捕する方針を固めた。昨年6月25日から翌日にかけて繰り返された一連の暴行が死因と判断した。
当初の調べでは、斉藤さんは同25日夕、愛知県犬山市内の宿舎での夕食の際、元親方にビール瓶で額を殴られたうえ、宿舎裏で兄弟子から殴るけるなどの集団暴行を受けたとされていた。
しかし、その後の調べで、斉藤さんが厳しいけいこに耐えかねて、同日朝に宿舎を脱走したが、同市内のコンビニエンスストアで兄弟子たちに見つかり、宿舎に連れ戻された。その後、夕食までの間も暴行されていたという。
亡くなった26日の朝げいこでも、同部屋でたった1人の序ノ口力士だった斉藤さんに対し、11人もの兄弟子が代わる代わる体当たりする猛げいこを数時間にわたり敢行。土俵脇で気絶する斉藤さんに対し、一部の兄弟子が金属バットで殴打したうえ、元親方が兄弟子たちを遠ざけて数時間放置していたことも明らかになっている。
愛知県警は、どの行為が致命傷になったかを特定するのは困難として、一連の暴行を一体としてとらえ、逮捕方針を固めた3人の兄弟子以外に暴行に加わっていた4-5人についても、近く書類送検する方針という。
元親方は事件発覚直後、「制裁を加えるようなけいこはやらせない。警察から事件性はないといわれた」と話していた。
Saturday, January 26, 2008
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